子供へ初めてプロトピック軟膏小児用を出されたのが2年前。
その前から何度も医師からすすめられていましたが、私が怖くてずっと断っていました。
ですが、キンダーベートを毎日塗布しても悪化し、リドメックスを使用するように。
それでも塗るのをやめると、数日で悪化。
このままいくとリドメックスでも効かなくなる・・・
この悪循環はどこかで断ち切らないとと思い、プロトピックを始めることにしました。
使い初めて2年。
結論から言うと、今、息子が顔にプロトピックを使用するのは多い時で1ヶ月に2~3回。
全く使わなくても平気な月もあります。
明らかにプロトピックの使用頻度が減って、肌の調子が良くなっているのです。
プロトピック軟膏とは
プロトピック軟膏の有効成分は、タクロリムスという免疫抑制薬です。
タクロリムスは、臓器移植後の拒絶反応を予防するための薬として開発され、その後アトピー用にも応用され開発されたのが、プロトピック軟膏です。
アトピーの原因は『過剰な免疫反応』と言われています。
プロトピック軟膏には、このアトピーの原因である過剰な免疫反応を抑える効果があるとされています。
プロトピック軟膏とステロイド軟膏の違い
副作用をおこしにくい
ステロイドを長年使用している方ならわかるかと思いますが、強いランクのステロイドは長期的に使用していると皮ふが薄くなります。
薄くなった皮ふは、肌のバリア機能も落ちているため、さまざまなアレルゲンも入り込みやすく、ちょっとした刺激でまた痒みを引き起こします。
また、毛細血管も拡張し、薄くなった肌から網目状の血管が見えてしまうことも。
しかし、プロトピックはステロイドと違い、長い間(2年間)使用していても皮膚が薄くなったり、血管が拡張し肌から透けてみえるようになるといった副作用がほとんど報告されていません。
※ここからは、ステロイド軟膏を30年以上使用してきた私のかなり個人的な意見ですが、この副作用が報告されていないというのは、2年間の臨床試験での報告です。
プロトピックが使用され始めたのが大人用で1999年、小児用だと2003年です。
つまり、まだ20年以上などかなりの長期的で使用されてはいないのです。
これから先、長期的に使用することで必ずしも副作用がないとはいいきれないのでは?と思っています。
薬には副作用はつきもの。
長期間の薬の使用で、私の免疫力はかなり落ちていますし、いろいろな肌の感染症にもかかりやすくなっていることを実感しています。
プロトピックはバリア機能が働いている肌には吸収されない
ステロイドは、炎症の起きていない正常な肌に塗布しても吸収されますが、プロトピックは肌が炎症している箇所には、よく吸収され、健康な肌には吸収されにくいという特徴があります。
皮膚のバリア機能が正常な肌の場合、このバリア機能により500より分子量が大きいものは通過できません。
この500という分子量より小さい分子量で初めて皮ふ吸収されると言われています。
ステロイドの分子量は、だいだい450程度とされていますので、正常な肌でもバリアを通過してしまうのです。
それに対して、プロトピックの分子量は約800とされており、正常な肌のバリア機能を通過することができません。
これだと、肌に塗布しても効果がないのでは?という疑問を持たれるかもしれませんが、炎症が起こっている肌は、肌のバリア機能が低下してます。
これにより、プロトピックの分子量でもきちんと肌に吸収され、肌の状態がよくなりバリア機能の回復にともなって、プロトピックが吸収されなくなるのです。
プロトピックの使い方・注意点
初めての使用は、炎症を静めてから!
初めてプロトピックを処方された時に、医師から言われたこと。
それは、じゅくじゅくした箇所には使用しないでね。ということでした。
しっかりといつもより強めのステロイドを数日使用し、炎症がしずまったらプロトピックに切り替えること。
ここがとっても、とっても大事です!!!
一日も早く炎症を静めてあげたい!と間違っても、お子さんのじゅくじゅくしている箇所に塗布はしてはいけません。
とんでもないことになります!
炎症がある箇所に、プロトピックを使用すると副作用がめちゃくちゃ強く出ます!!
私自身も、かれこれ18年も前に大人用のプロトピック軟膏を使用したことがあるのですが、それはもう『もう二度と使うもんか!!!』というぐらいひどい刺激でした。
今思うと、その当時は、プロトピック軟膏が出てまもない頃。
医師から、炎症を静めてから使用してね!なんて言われてませんでした。
普通に、ステロイド軟膏の変わりに、プロトピックを使用したのですが、その時の刺激は18年たった今でも忘れられないくらい本当にひどいものでした。
お風呂上がりにいつものステと同じように塗った途端、顔じゅうがヒリヒリし、顔が熱くなり、顔をむしりたいほど痒みがまして、もういてもたってもいられなくなり、すぐに顔を洗いに行きました。
この洗顔で熱いお湯がまたいけなかった。もっと刺激がまして、プロトピックを洗い流したあとも、しばらくずっとヒリヒリや痒みがおさまらず、アイスノンで冷やし続けなければならないほどでした。
そんな思いをしたことがあるのですから、子供へのプロトピックの使用を渋るに決まっています。
炎症を静めてからと言っても、なかなか信じられずに、まずは自分の顔で少し試してみました。
灼熱感はやはりあるものの、以前のような顔をむしりたいほどの痒みは少しだけ抑えられています。ほてり感もありますが、耐えられないものではありません。
息子へプロトピックを使ってみた
自分の経験を踏まえて、息子はしっかりと顔の炎症を静めてから、プロトピックを使用しました。
初めての軟膏に、すごくこわがっていた息子。
実際に初めて使用すると、
『ひりひりする』
『あつい』
『しみる』
『これ塗りたくない』
と言って、おでこを掻き毟り始めました。
これは嫌な予感がするぞ。と思い、すぐにアイスノンで冷やすことに。
しばらく冷やしているとだいぶマシになったようで落ち着いてきました。
その日は、早めに眠らせて少しでも早く顔の違和感を忘れさせました。
先にワセリンを塗ってから、プロトピックを塗ってみたり、塗ったらすぐに冷やしたりして、なんとか数日間続けてみましたが、なかなか息子の顔のほてりやヒリヒリはおさまりませんでした。
後になって話を聞くと、ずっと使うのはイヤだったけど、少しでも良くなりたいという想いだけで、息子は頑張っていたようです。
効果がでるのが早かった
プロトピックの使用後、肌の調子がよくなってくる
プロトピックを使用して、2週間。
肌の調子は見違えるほど良くなりました。
そこから、今度はプロトピックを塗るのをお休みする日を作っていきます。
3日連続で塗ったら、1日休む。ということを繰り返します。
しばらく様子を見て症状が悪化しないようであれば、そこから2日使用して1日休む。へと移行していきます。
これでも、大丈夫なら1日使用して1日休むという風に、1日おきに薬を塗っていきます。
こうやって、薬の塗る頻度を減らしていきます。(もちろんこのプロトピックを塗らない日も保湿剤は使用しています)
これを繰り返している間に、もしまた悪化したら、連続使用して治し、最初からやり直しです。
最初のうちは、なかなか2日使用して1日休むまでいくと、悪化するという状態を繰り返していました。
ですが、根気よく根気よく、これをひたすら繰り返して2年がたったいま。
息子の顔にプロトピックを塗るのは1ヶ月で2~3回。
悪化した時のみ、数日使用する程度まで、顔に出るアトピーが抑えられるようになりました。
プロトピックを塗り続けなくても、保湿剤だけで昔とは見違えるほどのつるつるお肌に♡
残念ながら、まだ身体のアトピーはコントロールが上手にできていませんが、顔の肌の状態は、プロトピックを連続使用しなくてもよくなり、保湿剤だけで大丈夫になりました。
アトピーの完治は難しい。アトピーはコントロールする病気。
昔から言われてきたことですが、アトピーは本当に治りにくい病気です。
アトピー性皮膚炎が良くなっても、アトピーの素因があることにはかわりないのです。
いつかまた悪さをするかもしれない。
そのためにも、アトピーを完治させようとするのではなく、私は寛解を目指しています。
アトピー性皮膚炎は,一般に慢性に経過するが,適切な治療によって症状がコントロールされた状態が長く維持されると,寛解も期待される疾患である.
アトピー性皮膚炎診療ガイドラインにもあるように、治療によりきちんとコントロールをすることにより、外用薬や内服薬を使用しなくても大丈夫なラインにまで持っていけるのです。
身体の状態は、まだきちんとコントロールできていませんが、プロトピックの使用頻度は明らかに減っています。
ステロイドだとなかなか難しかった外用薬の使用頻度を減らすということが、プロトピック軟膏を使用したことでスムーズに行うことができました。
2年という月日をスムーズととれるのか?という話ですが、あくまでステロイドに比べての私の使用した感想です。
今回のことで、プロトピックは適切に使えば、とても使いやすい薬なのだと身にしみました。
息子で2年かかって頻度が落ち着いたので、今は娘も挑戦しています。
息子や娘とも二人揃って、この寛解を目指して、治療していきたいと思います。